
フレーム生成をオンにすると、fpsの数字は上がるのに操作が少し重く感じる。
そんなフレーム生成の弱点を減らす技術を、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が米国で特許出願しました。
AIが次のフレームを予測して先に表示する仕組みで、DLSSやFSRのフレーム生成とは考え方が大きく異なります。現時点では特許出願の段階で、製品への採用時期は未定です。
ソニーの特許はAIで「次のフレーム」を予測する技術
直前の映像と操作から、次の1枚を先に作る

この特許では、直前に描画されたフレームをAIが読み取り、次に表示されるフレームを予測します。予測には、画面内の物体が動く向き(モーションベクトル)や、直前のコントローラー操作も使えます。
たとえばジャンプボタンを押した直後の数フレームは、ジャンプのアニメーションになります。特許にもこの例が書かれていて、操作とその後の映像のつながりをAIに学習させ、予測の精度を上げる考え方です。
予測したフレームは、GPUが本物のフレームを描き終える前に画面へ表示されます。描画の完了を待つ時間を省けるので、フレーム生成で増える遅延を抑えられる可能性があります。
特許にはこのほか、数フレーム先までまとめて予測する方法や、予測が外れたときの予備として、画素を動きの方向へずらしてフレームを作るAI以外の方式も記載されています。
特許の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公開番号 | US 2026/0320740 A1 |
| 出願人 | Sony Interactive Entertainment Inc. |
| 出願日 | 2026年6月23日 |
| 公開日 | 2026年10月15日 |
| 状態 | 審査待ち(今回の継続出願) |
| 元の出願 | 2023年12月21日(今回はその継続出願) |
今回公開されたのは、2023年12月の出願を引き継いだ継続出願です。この継続出願はこれから審査を受ける段階で、ソニーは少なくとも2023年からこの技術に取り組んでいます。
フレーム生成で操作が重くなる理由とソニー方式の違い
今のフレーム生成は2枚の間を補間する
DLSSやFSRのフレーム生成は、GPUが描いた2枚のフレームの間に、新しく作ったフレームを差し込む仕組みです。間のフレームを作るには後ろの1枚の完成を待つ必要があり、その待ち時間が操作の遅れとして表れます。
さらに、表示fpsが増えても、ゲームが操作を受け付けて処理する速さは元のfpsのままです。
30fpsのゲームをフレーム生成で60fps表示にすると、見た目は滑らかになる一方で、操作の反応はネイティブ60fpsより重く感じます。
この遅れを抑えるため、NVIDIAはReflex、AMDはAnti-Lag 2という低遅延技術を用意しています。どちらもゲーム側の対応が必要で、使えるかはタイトルごとに変わります。
ソニー方式は「次の1枚」を先に作る

| 比較 | DLSS・FSRのフレーム生成 | ソニーの特許技術 |
|---|---|---|
| 生成方式 | 2枚のフレームの間を補間 | 次のフレームを予測 |
| 使う情報 | 描画済みのフレームと動きの情報 | 直前のフレーム、動きの情報、コントローラー入力 |
| 遅延への対策 | 対応ゲームでReflex・Anti-Lag 2を併用 | 描画完了の前に表示して抑える |
| 現状 | 対応PCゲームで利用できる | 特許出願の段階 |
ソニーの方式は、後ろの1枚を待つ前に予測したフレームを表示します。
補間で生まれる待ち時間そのものを減らせる点が、今のフレーム生成との大きな違いです。滑らかさと操作の軽さを両立できれば、フレーム生成を使えるゲームの幅が広がります。
実用化のカギは予測の精度
予測が実際の動きとずれると、そのフレームは一瞬だけ乱れた映像として画面に出ます。
特許の図にも、本物のフレームでは舌を出している顔が、予測フレームでは舌が消えている例が載っています。
動きの激しいアクションや対戦シューターほど、次の動きは読みにくくなります。特許に書かれているのは仕組みの説明までで、速度や画質の実測データは今後の発表待ちです。
ゲーミングPCやPS6への影響は?
ソニーは2026年3月、AMDと共同開発したFSRのフレーム生成と同等の仕組みを、いずれPlayStationにも導入する考えを示しています。2026年中のリリース予定はなく、対象がPS5 ProかPS6かは未公表です。
FSRのフレーム生成は2枚の間を補間する方式で、今回の特許の予測型とは仕組みが異なります。
今回の特許技術がこの共同開発に含まれるかは未公表で、GeForce RTXやRadeon、PS5 Pro・PS6への採用も未発表です。
AMDとの共同開発「Project Amethyst」の成果は、アップスケーリングではすでに形になっています。PS5 Proの新しいPSSRはこのプロジェクトから生まれたアルゴリズムとニューラルネットワークを使っていて、PCではFSR 4に同じ成果が取り入れられています。
特許の構成はプロセッサ・メモリ・ディスプレイという一般的なもので、ゲーム機とPCのどちらにも当てはまる書き方です。フレーム予測もアップスケーリングと同じようにPCへ広がるのか、続報に注目です。
DLSSやFSRのフレーム生成はすでにゲーミングPCで使えます。
これからは表示fpsの高さに加えて、入力遅延をどこまで抑えられるかが、フレーム生成を見るうえで大事なポイントになりそうです。

