
新しいゲームを起動したら「シェーダーをコンパイルしています」の画面で数分待たされる。プレイ中にいきなり一瞬カクッと止まる。PCゲームでよくあるこの2つの悩みを減らすのが、Windows 11の新機能「Advanced Shader Delivery(ASD)」です。
2026年10月にはNVIDIAとIntelへの対応も発表され、GeForce搭載PCでも使える日が近づいています。仕組みや対応GPU、対応ゲーム、使うための条件をまとめました。
Advanced Shader Delivery(ASD)とは
ASDは、シェーダーのコンパイルを先に済ませておき、ゲームのダウンロードと一緒に配る仕組みです。
シェーダーは、ゲーム画面の光や影、質感をGPUで描くための小さなプログラムです。本来は遊ぶPCの上で、そのGPUが使える形に変換(コンパイル)してから使います。
ASDではこの重い作業を一台一台のPCからクラウドへ移し、ダウンロード時に配るので、初回起動の待ち時間がぐっと短くなります。

| 項目 | 従来 | ASD |
|---|---|---|
| コンパイルする場所 | 自分のPC | クラウド側で事前に実施 |
| 初回起動 | 数分待つことがある | 数秒程度 |
| プレイ中のカクつき | コンパイル時に起きやすい | 起きにくい |
| 起動時のCPU負担 | 大きい | 小さい |
改善されるのは「待ち時間」と「コンパイルが原因のカクつき」です。平均FPSを引き上げるDLSSやFSRとは役割が別なので、フレームレートを上げたいときはそちらの出番になります。
シェーダーコンパイルで待たされる理由
PCはGPUの種類もドライバーのバージョンも人それぞれです。コンパイル済みのシェーダーはゲーム・GPU・ドライバーの組み合わせごとに中身が変わるため、これまでは事前に用意するのが難しく、起動時のロード画面でまとめて作るか、プレイ中に必要な分をその場で作るかの二択でした。
| 作るタイミング | 良い点 | 困る点 |
|---|---|---|
| 起動時にまとめて | プレイ中のカクつきが少ない | 初回起動で数分待つ |
| プレイ中に必要な分だけ | 起動が早い | 作った瞬間にカクつく |
GPUドライバーを更新したあとに、またコンパイル画面が出るのも同じ理由です。
一度作ったシェーダーはキャッシュとして残りますが、ドライバーが更新されるとそのキャッシュが使えなくなるためです。
Advanced Shader Deliveryの仕組み
ASDは次の流れで動いています。
- ゲーム開発者が、ゲームで使うシェーダーの情報を「SODB(State Object Database)」にまとめてストアへ登録する
- GPUメーカーのコンパイラーで、GPUとドライバーの組み合わせごとにコンパイルする
- 完成した「PSDB(Precompiled Shader Database)」をゲームと一緒に配信する
- 初回起動の時点で、必要なシェーダーがすでにWindowsのキャッシュに入っている
PCのドライバーが更新された場合も、それを検知してシェーダーキャッシュを自動で更新する仕組みになっています。
どれくらい速くなる?公表されている数値

『Forza Horizon 6』では、約1.5分かかっていたロードが4秒になり、約95%の短縮。測定環境はRadeon RX 7600とRyzen 7 5800です。

『Gears of War: E-Day』では、一般的なPCで数分かかる初回のシェーダーコンパイルが数秒で終わり、約95%短縮とされています。
Advanced Shader Deliveryの対応GPU(2026年10月3日時点)
| メーカー | 対象 | 主な製品 | 状況 | 必要なドライバ |
|---|---|---|---|---|
| AMD | RDNA 1/2/3/3.5/4 | Radeon RX 5000〜9000シリーズ、RDNA系内蔵GPU搭載のRyzen | 対応済み | Adrenalin 26.6.1以降 |
| Qualcomm | Snapdragon X2シリーズ | Snapdragon X2搭載ノートPC | 対応済み | 2026.08.3以降 |
| NVIDIA | すべてのRTX GPU、RTX Spark | GeForce RTXシリーズ | 10月中に対応予定 | 公開待ち |
| Intel | Arc B570/B580、Core Ultra シリーズ2/3 | Arc Bシリーズ、Core Ultra搭載ノートPC | 10月中に対応予定 | 公開待ち |
GeForce RTXはいつから使える?
NVIDIAは「すべてのRTX GPUとRTX Spark」が10月中に対応予定です。NVIDIAとIntel向けのドライバーのバージョンはまだ公表されていません。
「RTX」と名のつくGeForceが対象なので、GTX 16シリーズなどは対象リスト外です。GeForce RTXを使っている方は、ドライバーのリリースノートにASD対応の記載が出たタイミングで更新しておくと安心です。
Radeonはすでに使える
AMDはNVIDIAより先に対応が進んでいて、Radeon RX 5000シリーズ以降ならすぐ使えます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年10月 | ROG Xbox Ally/Ally Xで提供開始 |
| 2026年5月 | AMD搭載のWindows 11 PCへ拡大(Xbox Insider向けプレビュー) |
| 2026年6月11日 | Xbox PCアプリで一般提供、RDNA全世代に対応 |
| 2026年10月1日 | Qualcommが対応、NVIDIA・Intelは10月中予定と発表 |
使うための条件
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| OS | Windows 11 24H2以降 |
| Xbox Gaming Services | 37.113.11003.0以降 |
| GPU | ASD対応GPU |
| ドライバー | ASD対応バージョン以降 |
| 入手先 | Xbox PCアプリ |
| ゲーム | ASD対応タイトル |
Windows 11 24H2以降専用の機能なので、Windows 10のPCは対象外です。
Advanced Shader Deliveryの使い方
ASDは条件がそろえば自動で働くので、オンにする設定は不要です。
- Windows 11を24H2以降に更新する
- GPUドライバーを最新版に更新する
- Microsoft Storeの「ライブラリ」からGaming Servicesを更新する
- Xbox PCアプリをインストールする
- Xbox PCアプリからASD対応ゲームをダウンロードする
ASDが働いていると、起動画面に「Precompiled shaders installed」と表示されます。この表示が出ていれば準備OKです。
SteamでもAdvanced Shader Deliveryは使える?
2026年10月3日時点では、Xbox PCアプリで遊ぶゲームだけが対象です。Microsoftの開発者向け資料でも現在はXbox PCアプリで遊ぶゲームのみ利用可能と明記されています。
同じタイトルでも、Steam版を買った場合は従来どおりPC側でコンパイルが走ります。PC Game Passのゲームは Xbox PCアプリ経由で遊ぶので、対応タイトルならASDの対象になります。
仕組み自体は、開発者がSODBをゲームストアにアップロードして事前コンパイルに対応する形なので、Steamなど他のストアが導入すれば広がる余地があります。今後の動きに合わせてこの記事も更新していきます。
Advanced Shader Deliveryの対応ゲーム一覧
2026年6月11日時点でMicrosoftが公開している対応タイトルは45本です。
| 007 First Light | Ark Survival Ascended | Avowed |
| コール オブ デューティ ブラックオプス 6 | コール オブ デューティ ブラックオプス 7 | Clair Obscur: Expedition 33 |
| Control Standard Edition | Crimson Desert | Dead Island 2 |
| Deep Rock Galactic | Farming Simulator 25 | ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード |
| ファイナルファンタジーXVI | Forspoken | Forza Horizon 5 |
| Forza Horizon 6 | Forza Motorsport | Gears of War: Reloaded |
| Gears Tactics | グランド・セフト・オートV Enhanced | Grounded 2 |
| Hades 2 | High On Life 2 | ホグワーツ・レガシー |
| Keeper | Lies of P | メトロ エクソダス |
| Microsoft Flight Simulator 2024 | モンスターハンターライズ | NBA 2K26 |
| NINJA GAIDEN 4 | ペルソナ3 リロード | バイオハザード RE:2 |
| バイオハザード RE:3 | S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl | Sea of Thieves |
| SILENT HILL f | Sniper Elite: Resistance | South of Midnight |
| Starfield | Subnautica 2 | The Callisto Protocol |
| The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered | The Outer Worlds 2 | Where Winds Meet |
2026年10月1日には『Gears of War: E-Day』が加わり、今後は『Call of Duty: Modern Warfare 4』なども対応予定です。
よくある質問
まとめ
Advanced Shader Deliveryは、シェーダーのコンパイルを事前に済ませてゲームと一緒に配る、Windows 11の新機能です。初回起動の待ち時間と、コンパイルが原因のカクつきを減らせます。
| 使っている環境 | 2026年10月3日時点の状況 |
|---|---|
| Radeon RX 5000シリーズ以降 | いま使える(Adrenalin 26.6.1以降) |
| GeForce RTXシリーズ | 10月中に対応予定、ドライバー公開待ち |
| Intel Arc B570/B580、Core Ultra 2/3 | 10月中に対応予定 |
| Steam版のゲーム | 対象外(Xbox PCアプリ版のみ) |
まずはWindows 11 24H2以降への更新とドライバーの更新を済ませておけば、対応した時点ですぐに効果を体感できます。

