
「Ryzen 7 9800X3Dはゲーム最強と聞くけど、動画編集には向いていないらしい」そんな話を見て不安になった方は多いと思います。
この記事では、Premiere ProとDaVinci Resolveの検証データをもとに、9800X3Dで動画編集が実際にどこまでできるのか、Intelの現行CPUとどのくらい差があるのかを解説しています。CPU選びの参考にしてみて下さい。
結論:編集を優先するなら270K Plus。ただし9800X3Dでも編集はできる
先に結論です。
動画編集を最優先してCPUを選ぶなら、Core Ultra 7 270K Plusのほうがおすすめです。Premiere Proで約8%、DaVinci Resolveで約9%上回ります。しかも実売価格は270K Plusのほうが安いので、編集だけを見れば迷う余地は一切ないです。
→ Core Ultra 7 270K Plusの性能と搭載おすすめゲーミングPC
一方で、Ryzen 7 9800X3Dが編集に使えないわけではないです。同じ8コアのRyzen 7 9700Xより速く、4K編集も問題なくこなせます。
9800X3Dが向いているのは、ゲーム性能を最優先しながら動画編集も行いたい人です。「X3Dだから編集に向かない」と心配するほどの差ではありませんが、動画編集のためだけにX3Dへ追加費用を払う意味は薄い、というのが正確なところです。
| どんな使い方か | おすすめCPU |
|---|---|
| ゲームが最優先+動画編集もする | Ryzen 7 9800X3D |
| 編集が最優先(Premiere・DaVinciとも) | Core Ultra 7 270K Plus |
| DaVinci中心でAMDを使いたい | Ryzen 9 9950X3D |
| Premiere中心 | Intel Core Ultra(Quick Syncが効く) |
データの扱いについて
この記事の比較には、Puget Systemsが2026年3月に公開した検証(GeForce RTX 5080、同一環境)を使っています。
ただしこの検証に、Ryzen 7 9800X3Dそのものは含まれていません。同じ8コアのX3DであるRyzen 7 9850X3Dの数値を代理として使っています。
根拠は、Puget Systems自身が9850X3Dのレビューで次のように書いていることです。
Premiere Proのイントラフレーム系テストでは、9850X3Dは9800X3Dと同じスコアだった DaVinci Resolveは、どのサブスコアでも9850X3Dの高い動作クロックを活かせなかった
9850X3Dは9800X3Dのクロック向上版ですが、動画編集ではその差が出ない、というのが一般的に知られていることです。そのため本記事では、9850X3Dのスコアを9800X3D相当として扱っています。
Premiere Proの比較
Adobe Premiere Pro 総合スコア
計測: Puget Bench for PPro v2.0.1|総合スコア(EXTENDED)・高いほど高性能
270K Plusが9850X3Dを約7.9% 上回りました。9700X比では約15.4%です。
注目したいのは、Ryzen側の並びです。16コアの9950X3Dが、8コアの9850X3Dより約1.4%遅いという結果になっています。Premiere Proでは、AMDの上位モデルにしても性能が伸びません。
つまりPremiere Proに関しては、AMD側でどれを選んでも270K Plusには届かないというのが今のところの状況です。
DaVinci Resolveの比較
DaVinci Resolve 総合スコア
計測: Puget Bench for DR v2.0.0|総合スコア(EXTENDED)・高いほど高性能
270K Plusと9850X3Dの差は約9.1%です。Premiere Proの約7.9%より、むしろ少し広がっています。
ただし上位モデルまで見ると景色が変わります。9950X3Dは270K Plusにわずか1.2%差まで迫っています。 Premiere Proでは9.5%離されていたので、ここは大きな違いです。
DaVinci ResolveはPremiere Proよりもハードウェア、特にGPUをうまく使う設計です。そのぶんCPUのコア数も活きるため、AMDの16コアが本領を発揮します。
DaVinci Resolveを中心に使っていてAMDで組みたいなら、9950X3Dが現実的な選択肢になります。
なぜPremiere ProではIntelが強いのか
コア数の差だけではありません。もう一つの理由がQuick Syncです。
Quick SyncはIntel CPUの内蔵GPUに搭載されている映像処理用の専用回路で、H.264・HEVC・AV1のエンコード/デコードをハードウェアで処理します。
Premiereを多用するならIntel Core Ultraを選ぶのがおすすめです。(ただし内蔵GPUを持たない「F」付きモデルを除く)。
AMDのRyzen 7 9800X3DにはQuick Sync相当の機能がないため、この部分はグラフィックボードのメディアエンジンに任せることになります。ここが、Premiere ProでIntelが有利になる主な理由です。
4K動画編集には使える?

使えます。当サイトの検証では、Ryzen 7 9800X3D+Radeon RX 9070 XTの環境で、5分の4K動画の書き出しに5分48秒でした。実時間とほぼ同じペースなので、実用面で困る場面はほとんどないと思います。
▶ G-Tune DG-A7A7X レビュー|9800X3D+RX 9070 XTの実機検証
4Kが重くなる原因は、CPUよりも次の3つであることが多いです。
- GPUのメディアエンジン
H.264・HEVC・AV1の再生と書き出しはGPU側の専用回路が担当します。ここが弱いと4Kのプレビューがカクつきます。 - メモリ容量
4Kのタイムラインは32GBあると安心です。16GBだと他のアプリを開いた時点で余裕がなくなります。 - ストレージ速度
4K素材は容量が大きいので、素材用にNVMe SSDを別で用意すると読み込みが安定します。
9800X3D/9850X3Dはいずれも、この3点を整えたうえでなら4K編集に十分対応できます。
差が「8%」で収まらない場面もある
ここまでの数字だけ見ると、270K Plusが速いといっても1割弱です。ただしこれは編集アプリの総合スコアの話で、CPUの使われ方が変わると差は一気に開きます。
同じ検証のCinebench 2026とBlenderを見ると、景色がまったく違います。
| CPU | Cinebench 2026(マルチ) | Blender CPUスコア |
|---|---|---|
| Core Ultra 7 270K Plus | 9,608 | 559 |
| Ryzen 9 9950X3D | 9,342 | 600 |
| Core Ultra 9 285K | 9,002 | 522 |
| Core Ultra 7 265K | 7,921 | 442 |
| Ryzen 9 9900X3D | 7,377 | 457 |
| Core Ultra 5 250K Plus | 7,132 | 396 |
| Core Ultra 5 245K | 5,540 | 295 |
| Ryzen 7 9850X3D(9800X3D相当) | 5,296 | 318 |
| Ryzen 7 9700X | 4,832 | 279 |
270K Plusは9850X3DをCinebench 2026で約81%、Blenderで約76%上回りました。 約1.8倍です。
なぜ同じCPUでこれほど差が変わるのか
編集アプリの総合スコアは、再生・エフェクト・書き出しを混ぜた複合値です。そしてその多くを、GPUのメディアエンジンやQuick Syncが肩代わりします。CPUの全コアを使い切る場面は、意外と限られます。
一方、CinebenchやBlenderのレンダリングはCPUだけで処理します。ここではコア数がそのまま結果に出ます。8コア対24コアなので、1.8倍という差になるわけです。
効いてくるのはこういう使い方
- 書き出しながら別の作業をする:次の動画を編集する、ブラウザを開く、ゲームを起動する
- After Effectsのレンダリング:GPUに逃がせない処理が多く、コア数がそのまま効きます
- 3DCGやモーショングラフィックス:Blenderの結果がそのまま当てはまります
- 配信と録画を同時に回す:裏で走る処理が増えるほど、余っているコアの数が効きます
8コアの9800X3Dは、これらを同時にやると余力がなくなります。24コアの270K Plusは、8コア分を書き出しに使っても、まだ16コア分が空いている計算です。
「編集そのものの速さ」より「編集しながら他のことをする余裕」で差がつくという理解のほうが実態に近いと思います。
結局どちらが買いか
編集を優先するなら270K Plus
Premiere Proで約8%、DaVinci Resolveで約9%速く、そのうえ実売価格は9800X3Dより安く収まります。編集用途に限れば、性能と価格の両方で上回っています。
そのうえ前述のとおり、コアを使い切る処理では差が大きく開きます。編集を仕事にしている、または本数が多いなら、選ばない理由が見つかりません。
ゲームを優先するなら9800X3D
ゲーム性能では9800X3Dが明確に上です。そして編集性能も9700Xを上回っているので、「ゲームが主、編集も本気でやる」という使い方なら十分に成立します。
編集で8%遅いことより、ゲームでのフレームレート差のほうが体感しやすいという判断です。
ただし、書き出しの裏で別の作業を走らせることが多いなら、8コアという上限は意識しておいたほうがいいと思います。
動画編集におすすめゲーミングPC
G TUNE DG-I7G70

| スペック | |
|---|---|
| CPU | Core Ultra 7 270K Plus |
| グラフィック | RTX 5070(12GB) |
| メモリ | 16GB(DDR5) |
| ストレージ | 500GB NVMe SSD(Gen4) |
| ケース | ミニタワー |
G TUNE DG-I7G70は、高級感・冷却性・静音性をしっかり押さえた、G TUNEの新ミニタワーです。前面LEDが間接照明のように灯り、デスクに置いたときの存在感も魅力のひとつ。
GPUにはRTX 5070を搭載しているので、最新ゲームもWQHD解像度で気持ちよく動かせます。
CPUは「最高のオールラウンドCPU」とも評される高コスパモデル「Core Ultra 7 270K Plus」。ゲームに加えて動画編集や配信といった作業もこなせるため、これ1台でやりたいことが幅広くカバーできます。
本格的に編集する人
GALLERIA XDR7A-R57T-GD

| スペック | |
|---|---|
| CPU | Ryzen 7 9800X3D |
| グラフィック | RTX 5070 Ti(16GB) |
| メモリ | 32GB(DDR5) |
| ストレージ | 1TB NVMe SSD(Gen4) |
| ケース | ミドルタワー |
ゲームをしっかり遊びつつ、その録画を自分で編集する。そんな使い方にちょうど良いバランスの一台です。
動画編集で効いてくるのはGPUとVRAMです。RTX 5070 TiのVRAM 16GBがあると、4K素材のプレビューやエフェクトを重ねた場面でも詰まりにくく、書き出しもGPU支援でしっかり速くなります。メモリは32GB標準なので、編集ソフトとブラウザ、配信ソフトを開いたまま作業しても余裕があります。ストレージも1TBあるので、素材を置きながら進められます。
CPUのRyzen 7 9800X3Dはゲーム処理に特に強いモデルです。RTX 5070 Tiの性能を4Kでも引き出せるので、ゲーム側の快適さは文句なしです。
筐体はガレリアの新筐体で、エアフロー設計による冷却性能も高く、前面の斜め45度コンソールパネルはUSBの数も多くて使い勝手が良いです。
ゲームのフレームレートも求めたい方
GALLERIA XMR9A-R58-GD|

| スペック | |
|---|---|
| CPU | Ryzen 9 9950X3D |
| グラフィック | RTX 5080(16GB) |
| メモリ | 32GB(DDR5) |
| ストレージ | 2TB NVMe SSD(Gen4) |
| ケース | ミドルタワー |
Ryzen 9 9950X3DとRTX 5080 16GBを組み合わせた、ハイエンドクラスのゲーミングPCです。
動画編集だけならCore Ultra 7 270K Plus搭載モデルのほうがコストパフォーマンスに優れます。しかし、Ryzen 9 9950X3Dはゲーム性能が非常に高いです。
さらに、DaVinci ResolveではCPU以上にGPU性能が重要です。RTX 5080は16GBのVRAMを搭載しているため、4K動画編集はもちろん、ノイズ除去やAI機能、重いエフェクトを使った編集にも対応しやすくなっています。
標準で32GBメモリと2TB SSDを備えているのもポイントです。撮影した動画を編集してYouTubeへ投稿し、そのまま4K環境で最新ゲームを楽しみたい方におすすめです。
ゲーム性能を妥協せず、本格的な動画編集にも取り組みたい人
よくある質問
まとめ
- 編集を優先するなら270K Plus。Premiereで約8%、DaVinciで約9%速く、価格も安く収まります
- 9800X3Dでも4K編集は問題なくできます。同じ8コアの9700Xより速いという結果です
- Premiere ProはQuick Syncの差が大きく、AMDの上位モデルでも270K Plusには届かない
- DaVinci Resolve中心でAMDを選ぶなら、8コアではなく9950X3Dが現実的です
ゲームを最優先しつつ動画編集もするなら9800X3D、編集を最優先するなら270K Plus。この2つで考えると迷いにくいと思います。



