
RTX Sparkは、デスクトップのRTX 5070と同じ6,144基のCUDAコアを積んだ、NVIDIAの新しいWindows向けArm SoCです。
この記事では、海外レビューをもとに、GPU・CPU・ゲーム・AIのベンチマーク性能を比較します。
RTX Sparkの性能まとめ
| 項目 | 性能の目安 |
|---|---|
| 3DMark | RTX 5070 Laptop~RTX 4070 Laptop相当(Steel Nomad) |
| ゲーム | CPU負荷の高いゲームほど差が開く |
| ローカルAI | 14B以上のLLMで、VRAM 8GBのRTX 5070 Laptopを大きく上回る |
| 動画編集 | アプリや処理内容で差が大きく、RTX 5060 Laptopより遅い結果もある |
| 消費電力 | SoC TDP 45〜80W。ゲーム中のGPU消費電力はRTX 5070 Laptop機の約4〜6割 |

RTX Sparkは、NVIDIAとMediaTekが共同開発したArmベースのSoCです。CPUとGPUが1つのメモリを共有するため、AI向けに大きなメモリ領域をGPUへ割り当てられます。
構成は2種類あります。
| CPU | CUDAコア |
|---|---|
| 20コア(Cortex-X925×10+Cortex-A725×10) | 6,144 |
| 18コア(Cortex-X925×9+Cortex-A725×9) | 5,120 |
メモリ帯域はどちらも最大300GB/s。本記事のベンチマークはすべて上位構成の結果です。
RTX Sparkの3DMarkスコア
Steel NomadでRTX 5070 Laptopと比較
※出典:ComputerBase
RTX SparkはRTX 5070 Laptopをやや下回る性能で、RTX 4070 Laptopを上回りました。デスクトップと比較するとRTX 5060程度の性能となっています。
RTX Sparkのゲーム性能
フルHDの平均fps
| ゲーム(画質) | Spark 平均 | 5070 Laptop 平均 |
|---|---|---|
| サイバーパンク2077(RT Ultra) | 36 | 43 |
| バルダーズ・ゲート3(Ultra) | 42 | 69 |
| 黒神話:悟空(High) | 66 | 64 |
| メトロ エクソダス EE(Ultra) | 75 | 82 |
※出典:PC Gamer。1920×1080。RTX SparkはASUS ProArt P16(メモリ64GB)。
『黒神話:悟空』はRTX 5070 Laptopをわずかに上回り、『バルダーズ・ゲート3』はかなり低い結果です。
バルダーズ・ゲート3はCPU負荷の高いゲームで、CPUへの依存度が高いタイトルほど差が開く傾向が見えます。
VRAMが足りない場面では逆転も
| 条件 | RTX 5070 Laptop | RTX 4070 Laptop | RTX Spark |
|---|---|---|---|
| フルHD・高・ネイティブ | 127.8 | 103.0 | 82.1 |
| 4K・RT中・DLSSクオリティ | 15.8 | 20.1 | 21.8 |
※出典:ComputerBase。サイバーパンク2077、単位はfps。比較の2機種はVRAM 8GB、RTX Sparkは30.5GBをGPUに割り当て。
4Kのレイトレーシングでは、VRAM 8GBの2機種がメモリ不足になり、RTX Sparkが上回りました。fps自体は20fps前後と低めなので、メモリ容量の差がそのまま表れた例として見ておくのが適切です。
DLSS 5は動くが負荷は重め
RTX SparkはDLSS 5やマルチフレーム生成にも対応しています。
| 設定 | 平均fps | 1% Low | 遅延 |
|---|---|---|---|
| DLSS 5オフ | 210.1 | 82.2 | 55.8ms |
| DLSS 5オン(従来モデル) | 97.1 | 43.4 | 93.3ms |
| DLSS 5オン(第2世代モデル) | 124.8 | 47.3 | 77.6ms |
※出典:ComputerBase。NBA 2K27、WQHD、RTオン、画質ミディアム、DLSSパフォーマンス、マルチフレーム生成3倍。遅延はシステム全体の遅延。
DLSS 5をオンにすると、fpsは半分前後まで下がり、遅延も増えます。
10月16日に配信された第2世代モデルでは平均fpsが約29%改善し、遅延も93.3msから77.6msに縮まりました。
オフ時の55.8msと比べると約22ms長く、操作の反応を重視するゲームでは差を感じやすい数値です。RTX SparkでDLSS 5を使うなら、画質や解像度を控えめにして負荷を調整するのが前提になります。
DLSS 5に対応するGPUはDLSS 5対応GPU一覧にまとめています。

アンチチートと互換性

Windows向けゲームの多くはIntelやAMDのx86 CPU向けに作られていて、RTX SparkではMicrosoftのエミュレーション機能「Prism」を通して動かします。Easy Anti-Cheat、BattlEye、Denuvoなど主要なアンチチートはすでに対応済みです。
EAのアンチチート「Javelin」は現時点で非対応で、『バトルフィールド』シリーズや『EA SPORTS FC 27』『F1 24』はプレイ不可の状態です。Javelinは2027年に対応予定とされています。
『レッド・デッド・リデンプション2』は初期設定のVulkanで起動時に落ち、DirectX 12に切り替えると動作したという報告もあります(Windows Central)。
遊びたいタイトルが決まっている方は、対応状況を確認しておくと安心です。
対応状況は「Works on Windows on Arm」で確認できます。
RTX SparkがRTX 5070 Laptopより遅くなる理由
RTX Sparkの上位構成は、デスクトップ版RTX 5070と同じ6,144基のCUDAコアを積んでいます。それでもゲームで差が出る主な理由は、CPU性能とGPUの動作条件にあります。
CPUのシングルコア性能が控えめ
| CPU | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|
| RTX Spark | 72 | 1,018 |
| Ryzen AI 9 HX 370 | 105 | 1,158 |
| Ryzen AI 9 365 | 115 | 1,054 |
| Core Ultra 9 275HX | 134 | 1,320 |
※出典:PC Gamer。Cinebench 2024。RTX Spark上ではx86版をエミュレーションで実行。
Cinebench 2024はRTX Spark上ではエミュレーションで動くため、x86向けゲームを遊ぶときに近い条件の数値です。シングルコアは他社CPUより3〜5割低く、CPUコアもArmの2024年世代の設計です。
ゲームのfpsはシングルコア性能の影響を受けやすく、バルダーズ・ゲート3のようなCPU負荷の高いゲームで差が開く原因になっています。
クロックとメモリ帯域
| 項目 | RTX Spark | RTX 5070 Laptop | RTX 5070(デスクトップ) |
|---|---|---|---|
| CUDAコア | 6,144 | 4,608 | 6,144 |
| メモリ | LPDDR5X(CPUと共有) | GDDR7 8GB/12GB | GDDR7 12GB |
| メモリ帯域 | 300 GB/s | 384 GB/s | 672 GB/s |
| 消費電力 | SoC全体で45〜80W | GPUで50〜100W(+最大15W) | 250W |
※出典:ComputerBase
CUDAコア数はRTX 5070 Laptopより多いものの、メモリ帯域は約2割少なく、消費電力の枠もSoC全体で45〜80Wに収まっています。
ゲーム中のGPUクロックもRTX 5070 Laptop機より500〜700MHz低めです。L2キャッシュもデスクトップ版RTX 5070より少なく、同じコア数でも同じ性能にはなりにくい構成です。
RTX SparkのローカルAI性能
RTX Sparkが本領を発揮するのはローカルAIです。CPUとGPUでメモリを共有するため、128GB構成なら最大96GBをGPUに割り当てられます。ゲーミングノートのVRAMは最上位のRTX 5090 Laptopでも24GBなので、この差は大きいです。
LLMの生成速度を比較
| AIモデル | RTX Spark | RTX 5070 Laptop |
|---|---|---|
| Qwen3 8B | 51.5 | 70.9 |
| Qwen3 14B | 29.0 | 4.3 |
| Qwen3.8 27B | 16.2 | 1.0 |
| Gemma 4 31B | 7.6 | 0.4 |
※出典:ComputerBase。llama.cpp(b11370)、CUDA 13.4、トークン生成速度(tokens/s)。量子化はQwenがQ4_K_M、GemmaがQ8_K_XL。RTX Sparkはメモリ64GB中48GBをGPUに割り当て、RTX 5070 LaptopはVRAM 8GB・メモリ64GB。
8BモデルはVRAM 8GBに収まるので、メモリ帯域の広いRTX 5070 Laptopが速い結果です。14B以上はVRAMからあふれ、RTX 5070 Laptopは処理の一部をメインメモリに逃がすため、速度が大きく落ちます。
RTX Sparkは27Bモデルでも16 tokens/s前後を保っています。小さなモデルを最速で動かすより、大きなモデルを動かす用途に向いたチップです。
RTX Sparkの動画の書き出し速度
| 書き出し | RTX Spark | RTX 5060 Laptop |
|---|---|---|
| H.264 フルHD | 42.0秒 | 32.1秒 |
| H.264 4K | 81.4秒 | 64.1秒 |
※出典:Windows Central。Procyon Video Editing(Premiere Pro Beta)、GPUエフェクトあり。短いほど高速。
Windows Centralのテストでは、RTX 5060 Laptopより時間がかかる結果でした。
ComputerBaseのPremiere Pro(4K H.265、エフェクトあり、ハードウェアエンコード、最新ベータ)では2分13秒で、RTX 4070 Laptop機の2分51秒より速い結果となっています。テスト内容やアプリのバージョンで結果が分かれると言えます。
ただ、HandBrakeのAV1エンコードは、ComputerBaseのテストでエラーにより中断しています。動画編集で使うアプリは、Arm版の対応状況も確認しておくと安心です。
RTX Sparkの消費電力とバッテリー
ゲーム中の消費電力
| 機種 | 平均fps | GPU平均消費電力 | GPU平均クロック |
|---|---|---|---|
| ASUS ProArt P16(RTX Spark) | 75 | 43W | 1,906MHz |
| Framework 16(RTX 5070 Laptop 100W) | 82 | 77W | 2,421MHz |
| Razer Blade 14(RTX 5070 Laptop 115W) | 84 | 97W | 2,589MHz |
※出典:PC Gamer。メトロ エクソダス Enhanced Edition、1080p Ultraを3回ループ。
RTX Sparkは、RTX 5070 Laptop機の4〜6割のGPU消費電力で、9割前後のfpsを出しています。GPU単体で見た電力効率はかなり高い結果です。
バッテリー駆動時の性能と駆動時間
ComputerBaseの『Gears of War: E-Day』(WQHD・中・DLSSクオリティ)では、電源接続時55.0fpsに対してバッテリー駆動時は53.1fpsで、低下は約3%でした。
| 機種 | ゲーム中のバッテリー駆動時間 |
|---|---|
| ASUS ProArt P16(RTX Spark) | 86分 |
| Framework 16(RTX 5070 Laptop) | 131分 |
| Razer Blade 14(RTX 5070 Laptop) | 134分 |
※出典:PC Gamer。PCMark 10のゲーミングバッテリーテスト。
性能は落ちにくい反面、フルパワーで遊ぶと86分ほどでバッテリーが切れます。ゲームは電源につないで遊ぶ前提で考えておくのが現実的です。
RTX Sparkはゲーム用PCとしておすすめ?

ゲーム目的だけで選ぶなら、RTX 5070 Laptop搭載のゲーミングノートの方がおすすめです。
3DMarkではRTX 5070 Laptopに近いスコアが出るものの、ゲームではCPU負荷の高いタイトルで差が開きます。
価格も高めです。国内ではSurface Laptop UltraがMicrosoft Storeで税込51万3,480円からです。
RTX Sparkが向いているのは、次のような方です。
- 27Bクラス以上のLLMをノートPCで動かしたい
- CUDA対応のAIツールを持ち歩いて使いたい
- AI・画像生成・動画編集を1台にまとめ、空き時間にゲームも遊びたい
RTX Sparkは「GeForceの代わり」というより、ゲームもこなせるローカルAI向けのノートPCと考えるとイメージしやすいでしょう。
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