
「ゲーミングPCの値段が上がっている」「メモリが高いうちは待った方がいいのか」と迷っている方は多いと思います。
結論から言うと、メモリ不足は2027年も続き、むしろ悪化するという見方が有力です。
Dell、Micron、SK hynixなど大手各社の最新の見通しをもとに、ゲーミングPCの価格への影響と、今買うか待つかの判断材料をまとめました。
2027年のメモリ不足はさらに悪化する見通し
PCメーカーとメモリメーカーの大手は、そろって「2027年は2026年より供給が厳しくなる」との見方を示しています。
| 企業・機関 | 発表時期 | 2027年以降の見通し |
|---|---|---|
| Dell | 2026年9月 | 2027年は2026年より供給不足が深刻になる可能性 |
| Micron | 2026年9月 | 2027〜2028年は2026年より需給がさらに逼迫 |
| SK hynix | 2026年7月 | 2027年は業界史上最悪の供給不足。2030年以降も需要が同社の生産能力を上回る |
| TrendForce | 2026年10月 | 2027年はPC向けDRAMの供給が減少 |
各社とも、2027年は供給不足が続くことを前提に動いています。
Dell:AIの進化に工場の建設が追いつかない
DellのマイケルDell CEOは、2026年9月9日のGoldman Sachs主催カンファレンスで、半導体の供給不足は構造的なもので、2027年は2026年より悪化する可能性が高いと話しました。
背景にあるのは時間差です。AIの性能は短期間で大きく進歩した一方、半導体の新工場は完成までに数年かかります。
Dellは部品コストの上昇分を製品価格に反映しており、顧客にとっては価格の高さ以上に、必要な製品を確保できるかどうかが深刻な問題になっていると説明しています。
Micron・SK hynix:2028年以降も逼迫が続く
Micronのサンジェイ・メロートラCEOは、9月30日の決算説明で、2027年と2028年のメモリ需給は2026年よりかなり厳しくなると予測しました。DRAMは両年とも供給が需要に届かない状態が続き、需給が均衡する時期は現時点で不透明としています。
SK hynixのクァク・ノジョンCEOは、7月のReutersのインタビューで、2027年は供給面で業界史上最悪の年になると発言。顧客の需要は2030年以降も同社の生産能力を上回ると予測しています。
TrendForce:PC向けDRAMは2027年に供給減
市場調査会社TrendForceは、2026年10月21日の調査で、2027年はPC向けDRAMの供給が減る見通しだと報告しました。業者間の現物取引でも、DDR5は供給が少なく調達しにくい状態です。
9月30日の調査では、2026年第4四半期の一般的なDRAMの契約価格が前四半期比で10〜15%上がると予測しています。メーカーが生産能力をサーバー向けに移しているため、PC向けに回る量が絞られていることが理由です。
メモリ不足はいつまで続く?
解消時期は現時点で未定です。2028年までは厳しい状況が続くという見方が多いです。

新工場が本格稼働するのは2028年以降
TrendForceは2026年7月の調査で、新しいDRAM工場が2027年に稼働を始めても、生産量が大きく増えるのは2028年になると予測しています。Micronも、アイダホ州の新工場でウェハー生産を始めるのは2027年半ばの予定です。
一方で、AIへの投資は2026年に過去最高水準となり、資金繰りが厳しくなっている企業も出ています。メモリの高値が続けばAI投資の計画が見直され、予想より早く需給が改善する可能性もあります。
SSDの価格は見方が分かれている
SSDに使われるNANDフラッシュは、DRAMと見通しが分かれています。
TrendForceは、2027年後半にNANDの供給が緩和し、価格に下落圧力がかかると予測しています。これに対しMicronは、NANDも2027年・2028年ともに供給が需要に届かない状態が続くとみています。
SSDの価格は、メモリとは別に動向をチェックするのがおすすめです。
なぜAI需要でゲーミングPCのメモリまで不足するのか
一番の理由は、メモリメーカーがAIサーバー向けの生産を優先しているためです。
AI向けのGPUには、HBM(広帯域メモリ)と呼ばれる高速なメモリが使われます。HBMとゲーミングPC用のDDR5は別の製品ですが、どちらも同じDRAMの生産能力を分け合っています。
しかもHBMは、通常のDRAMより多くのウェハー(半導体の材料となる円盤)を使います。HBMの生産を増やすほど、PC向けに使える生産能力は減っていきます。
さらにAIサーバーは、CPU側にも大容量のメモリを搭載します。AI関連の需要が増えるほど、ゲーミングPC用のメモリにも影響が広がる仕組みです。

ゲーミングPCの価格への影響
影響が大きいのはメモリ32GB以上のモデル
メモリの調達コストが上がると、BTOメーカーは次のような見直しを行う可能性があります。
- 本体価格の値上げ
- メモリ増設カスタマイズ料金の値上げ
- 価格を抑えるための標準メモリ容量の削減
特にメモリ32GBや64GBを標準搭載するモデルは、コスト上昇の影響を受けやすくなります。
実際にDellでも、PC事業の売上は伸びる一方で販売台数は伸び悩み、1台あたりの販売価格が上がっていると説明しています。
契約価格の上昇幅と店頭価格の関係
TrendForceの「10〜15%上昇」は、メーカー同士で取引される契約価格の予測です。店頭のDDR5メモリやBTOパソコンの価格にどれだけ反映されるかは、メーカーや販売店ごとに変わります。
完成品の価格は、メモリ以外にもCPUやグラフィックボードの価格、在庫状況、メーカーの販売戦略で決まります。値上がりの幅や時期は、モデルごとに差が出ると考えておきましょう。
ゲーミングPCは値下がりを待つべき?
近いうちにゲーミングPCが必要なら、メモリ価格の値下がりを待つより、必要なタイミングで買うのがおすすめです。
メモリの供給不足は2028年まで続くという見方もあり、価格がいつ下がるのかは不透明です。
必要な時期が決まっているなら、値下がりを待ち続けるより、予算と性能のバランスを見て購入するのがおすすめです。
| 今の状況 | おすすめの判断 |
|---|---|
| PCを持っていない、または遊びたいゲームの推奨スペックを下回っている | 待たずに購入を検討する |
| 今のPCで快適に遊べている | 買い替えは急がず、そのまま使い続ける |
| 重量級ゲームや配信もしたい | メモリ32GBのモデルを選ぶ |
ゲーム中心ならメモリ16GBで快適に遊べるタイトルも多くあります。最新の重量級ゲームや配信まで考えるなら、32GBを選んでおくと安心です。
購入するときは、本体価格だけでなく、標準メモリ容量と32GBへの変更料金も比較しておきましょう。


まとめ
Dell、Micron、SK hynixはそろって、2027年のメモリ不足は2026年より深刻になると予測しています。TrendForceもPC向けDRAMの供給が減ると見ており、ゲーミングPCの価格にも影響が出る可能性があります。
値下がりは2028年以降という見方が中心のため、PCが必要なら待たずに購入し、今のPCで快適に遊べているならそのまま使うのが現実的です。
DDR5メモリの価格に加えて、BTOメーカーの標準メモリ容量やカスタマイズ料金の変化にも注目しておきましょう。

