
ゲーミングPCを選ぶとき、CPUやグラフィックボードに注目する人は多いですが、実は“電源ユニット”こそがPCの安定性を支える大切なパーツです。
電源は「PCの心臓」とも呼ばれ、ここが不安定だとゲーム中のフリーズや突然のシャットダウンにつながることもあります。
「心臓が止まったら…」と考えると不安になりますよね。もちろん、高価な電源だから絶対壊れないわけではありませんし、安価なものでも長く動く場合はあります。
それでも安心して使いたいなら、電源をワンランク上げておくことは精神的な安心にもつながります。電源選びで気をつけたいポイントをわかりやすくまとめました。
電源ユニットの重要性は?

ゲーミングPCを選ぶとき、多くの人は「CPUやグラボが大事」と考えがちですが、実は電源ユニットも同じくらい重要なパーツです。
いくら性能の高いパーツをそろえても、電源が安定していなければ本来の力を発揮できません。表に出ない存在だからこそ、見落としやすい部分なんです。
電源の役割とPCの安定性への影響
電源ユニットは、PC全体に安定した電気を届ける役割を持っています。もし電力が不安定だと、ゲーム中に突然カクついたり、動作が止まったりすることも。
せっかくのゲーミングPCが快適に動かないのはもったいないですよね。安心してプレイを楽しむためには、安定した電源が欠かせません。
電源不足や粗悪品を選んだときのリスク
必要な容量を満たしていない電源や安さ重視の粗悪品を選んでしまうと、「ゲーム中に急に落ちた…」なんてトラブルが起こることもあります。
最悪の場合、大切なパーツを巻き込んで故障するリスクさえあるんです。
特にグラフィックボードは消費電力が大きいので、電源が弱いと不具合の原因になりやすいパーツです。長く安心してPCを使うためにも、信頼できる電源を選ぶことはとても大切です。
ゲーミングPCに必要な電源容量の目安

ゲーミングPCを組むときに迷いやすいのが「電源は何W必要なのか?」という点です。
CPUやGPUの性能が上がるほど消費電力も増えるため、容量が不足するとゲーム中に不安定になったり、パーツの寿命を縮めてしまうこともあります。安心してプレイを楽しむために、自分の環境に合った容量をしっかり見極めることが大切です。
GPUとCPUの消費電力から考える
電源容量を決める上で一番大きな要素は、グラフィックボード(GPU)とCPUの消費電力です。たとえばエントリー向けGPUなら消費電力は150W前後ですが、ハイエンドGPUでは300Wを超えることも珍しくありません。
CPUも性能が高いほど消費電力が上がります。まずは使いたいパーツの消費電力を確認し、それに余裕を持たせて容量を選ぶのが基本です。
おすすめの容量別の選び方
- 500W前後:RTX 5060クラスのGPUを使うなら十分。
- 650W前後:RTX 5070に最適。
- 750W前後:RTX 5070 Tクラスに最適。
- 850W以上:ハイエンド環境向け。RTX 5080や将来の最上位GPUを見据えるなら必須クラス。RTX 5090なら1000Wが推奨。
将来のアップグレードを見据えた容量選び
「今の構成で動けばいい」と思いがちですが、数年後にGPUを交換したくなることはよくあります。
そのとき電源容量がギリギリだと、電源ごと買い替える必要が出てしまい無駄なコストがかかります。
最初から少し余裕のある電源を選んでおけば、アップグレード時も安心ですし、電源自体の負荷も軽くなるため長持ちしやすくなります。
効率を示す「80PLUS認証」とは

電源ユニットを選ぶときによく目にするのが「80PLUS認証」という表記です。
これは電源がどれだけ効率よく電力を変換できるかを示す指標で、効率が高いほど無駄な発熱が減り、省エネかつ安定した動作が期待できます。
認証があるかどうかは電源選びの信頼性を判断する目安になるため、必ずチェックしておきたいポイントです。
認証の種類
80PLUS認証には複数のランクがあり、下から順に「Standard」「Bronze」「Silver」「Gold」「Platinum」「Titanium」と分かれています。
たとえばBronzeなら約82%以上、Goldなら約87%以上の効率が保証されており、上位ランクになるほど電力ロスが少なく、発熱や電気代の無駄も抑えられます。
ゲーミングPCに最適なランクはどれか
ゲーミングPCでは、コストと性能のバランスを考えると「Gold」以上を選ぶのがおすすめです。
Bronzeでも動作自体に問題はありませんが、将来的な安定性や省エネを考えるとワンランク上を選んでおくと安心です。
予算に余裕があるなら「Platinum」や「Titanium」を選べば、効率面でさらに優れた環境を整えられます。
特に長時間ゲームをプレイしたり、PCを頻繁に使う方ほどランクの高い電源を選んだほうが快適に使えるでしょう。
知っておきたい最新の電源規格(ETA・LAMBDA認証)
80PLUS認証が電源効率を示す代表的な基準ですが、近年ではさらに細かい評価規格としてETAやLAMBDAも登場しています。まだ対応モデルは多くありませんが、知っておくと「より良い電源を選びたい」と考えるときに役立ちます。
ETA認証とは?効率をさらに細かく評価する基準
| 変換効率(平均) | 待機電力 | |
|---|---|---|
| DIAMOND | 93%以上 | 0.10W未満 |
| TITANIUM | 91%以上 93%未満 | 0.13W未満 |
| PLATINUM | 89%以上 91%未満 | 0.16W未満 |
| GOLD | 87%以上 89%未満 | 0.19W未満 |
| SILVER | 85%以上 87%未満 | 0.22W未満 |
| BRONZE | 82%以上 85%未満 | 0.25W未満 |
ETA認証は電源の変換効率をより細かくランク分けした規格です。80PLUSよりも厳密に効率を測定しており、省エネ性能を重視したい方や最新モデルにこだわりたい方に参考になる指標です。
LAMBDA認証とは?静音性を数値で確認できる基準
| 動作音 | |
|---|---|
| A++ | 15 db未満 |
| A+ | 15 db以上20db未満 |
| A | 20db以上25DB未満 |
| A- | 25db以上30db未満 |
| STANDARD++ | 30db以上35db未満 |
| STANDARD+ | 35db以上40db未満 |
| STANDARD | 40db以上45db以下 |
LAMBDA認証は電源ユニットの静音性を評価する基準です。負荷時にどれくらい静かに動作するかを示しており、静音PCを組みたい人や長時間ゲームを楽しむ人に向いています。

一般的には普通の会話で60db、図書館で40db程度と言われています。
当サイトでも静音検証をしていますが、普通の住宅の場合40db程度はあるでしょう。
フルモジュラー/セミモジュラー/直結タイプの違い
電源ケーブルの取り回しは、ケース内部の見た目やエアフローに大きく関わります。
- フルモジュラー:必要なケーブルだけを接続でき、配線がすっきりまとまる。自作経験者やこだわり派に人気。
- セミモジュラー:メインケーブルは固定、その他は着脱式。使いやすさと価格のバランスが取れている。
- 直結タイプ:すべてのケーブルが固定されているため安価だが、不要なケーブルが邪魔になることも多い。
初心者でも組みやすいのはセミモジュラー以上。配線を整理したい人やエアフローを重視する人にはフルモジュラーがおすすめです。
おすすめの電源ユニットメーカー・ブランド
電源ユニットは見た目やスペック表だけでは違いが分かりにくいですが、メーカーやブランドの信頼性が製品の品質や安心感に直結します。ここでは、個人で選ぶときに定評のあるメーカーと、BTOパソコンでの電源事情について紹介します。
信頼性の高い国内外のメーカー
Seasonic
自作PCユーザーの間で特に評価が高いのがSeasonic(シーソニック)です。高効率で安定性があり、長寿命なのが特徴で、ハイエンドユーザーからも支持されています。
Corsair
Corsair(コルセア)はラインアップが豊富で、初心者から上級者まで選びやすいのが魅力。デザイン性の高さも人気の理由です。
玄人志向
玄人志向はコストパフォーマンスに優れており、比較的手頃な価格で入手できる点が強みです。
どのブランドも信頼性が高く、長く安心して使える電源を探すなら候補に入れておきたいメーカーです。
BTOメーカーの電源について(マウスコンピューター、ドスパラ、パソコン工房など)
BTOで電源をカスタマイズするとコスパが悪くなる場合もあるため、よほどこだわりがなければ標準構成で十分。どうしても不安な場合は「ワンランク上」にしておくと安心です。
例えば、マウスコンピューターでは専任のエンジニアが電源メーカーと共同で開発を行い、部品の選定や品質評価を徹底して行っています。


パソコンの消費電力を確認する方法
PCの消費電力を計測するのに便利なのがワットチェッカーです。PCの電源を刺して消費電力を計測できる機器になります。
個人的にレビューする際に使用しているのがREX-BTWATTCH1です。Bluetoothに対応しており、PCやスマホと連携する事が可能です。
これだとデータとしてグラフで出てくれるので便利ですが、単純に消費電力を知りたいという場合だと安価なモデルでも十分実用に足ります。
まとめ
ゲーミングPCの電源ユニットは、見落とされがちですがPC全体の安定性を支えるとても重要なパーツです。容量が不足すればゲーム中のフリーズやシャットダウンを招きますし、粗悪な製品を選べば大切なパーツを壊してしまうリスクもあります。
基本的にはGPUとCPUの消費電力に余裕を持たせた容量を選び、効率を示す80PLUS認証はGOLD以上を目安にすると安心です。
さらにこだわりたい方は、最新のETA認証(効率)やLAMBDA認証(静音性)にも注目すると、より納得のいく選択ができるでしょう。
メーカーやブランドの信頼性、保証やサポート体制も含めて考えれば、長く快適に使えるゲーミングPCを構築できます。
電源は「PCの心臓部」と呼ばれるほど重要なパーツです。少し余裕を持った選び方で、安心してゲームを楽しめる環境を整えましょう。












